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2008年06月22日 日曜日

渡辺荘の宇宙人—指点字で交信する日々(福島 智)

 視覚障害、聴覚障害という二重の重い障害を持つ「盲ろう者」でありながら、先日東大の准教授になった著者のエッセイです。

 盲ろうという世界がどの様なものかに興味を持って読み始めたのですが、すぐに著者の魅力にどんどん引き込まれてしまいました。
 とにかく著者の感性が実に鋭く、知的でウイットに富み、文章がすばらしく上手いのです。

 もちろん著者の障害は非常に深刻なものです。
 目と耳が全く聞こえないということは、まさに漆黒の宇宙空間に一人で取り残されるようなものです。
 しかもそれが365日、24時間、一生続くのです。

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 何より辛かったのは、人とコミュニケーションがとれなくなったことだと書いてありました。

 著者のような「盲ろう者」は「指点字」という手段で他者とコミュニケーションをとります。
 これは、指の組み合わせパターンを相手の指の上で作り、それで文字を示すというものです。

 この指点字を使うことにより、著者は一度は絶望的に狭まってしまった世界をどんどん広げてゆきます。
 海外に出かけ、盲ろう者の世界大会で外国人と一緒にピアノの連弾をしたりもします。
 スキンダイビングだって、スキーだってやります。
 料理も、著者は料理が不得意なのですが、盲ろうでも天ぷらや煮魚なんて普通に作ってしまうのだそうです。

 著者が酒好き、旨い物好きというのもとても親しみを感じました。
 赤ちょうちんで一杯やりながらおやじさんと世間話をする場面では、すっかり著者が盲ろう者であるということを忘れてしまいました。
 寿司屋のカウンターでは、板さんの出すカレイとヒラメの味の違いを当てっこしたりします。
 活き活きとした場面。これも指点字の通訳によってなりたっている会話なのです。

 盲ろう者は全国に2万人近くもいるそうです。
 著者の人柄に深く感銘し、盲ろうという障害を少しでもかいま見ることができた非常に貴重な一冊だったと思います。

 最初図書館で借りたのですが、すぐにアマゾンで購入してしまいました。 

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[番外 > 読書 ]: 2008年06月22日 22:56:メインに戻る pagetop

コメント

ようこそ先輩で福島さんが語ってました。
生徒の質問に指点字を通じて会話してるんですが、
はじめテレビの音だけ聞いたときは盲聾者とは分かりませんでした。
漆黒の宇宙に一人という表現は印象的です。

投稿者 CARLOS : 2008年06月23日 12:44

>CARLOSさま
 こんにちは。
 NHKの番組私も観ました。
 福島さんはこちらから見ていても、盲ろう者だとはなかなかわからないと思いました。
 人間の可能性はすごいですね。

投稿者 モカ : 2008年06月23日 15:59

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