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止まってしまいそうな時間の流れの中で

村のおじいちゃんと村の家々には、必ずと言って良いほど玄関脇の壁にベンチが作り付けてありました。なんでも涼しくなってくると、そこで村の人達がおしゃべりに花を咲かせるのだそうです。
 私たちが歩いていると、一人のおじいさんがゆっくりと(実にゆっくりと)そこに腰掛ける姿を見つけました。私たちも同じようにゆっくりとおじいさんに近づき
「Boa tarde(こんにちは)」と声をかけると、しゃがれた声で同じようにゆっくりと言葉を返してくれました。(9)

村のお墓城壁の外側の、はるか地平線を見渡す山の斜面には墓地があり、白い墓石が整然と並べられていました(10)。恐らくここで生まれ、ここで死んでいった村人のお墓なのでしょう。
 信じられないようですが、この景色の中、この時間の流れの中で一生を送る人もいるのです。あくせくと過ごしている自分の日常との違いにがく然としてしまうのでした。
 世界はあまりにも広いです。

壁の蓋城壁に近い民家の壁に何かの設備の蓋があったのですが、その蓋までも壁と同じ材料を使って作られていました(11)。
 訪れてた人達を深く感動させる景観は、こういった目立たない努力が成せるものなのだろうと思い、ポルトガルの祖国を思う心に少し感動しました。

広大な景色

モンサラーシュは他の多くのポルトガルの街と同様に城壁に囲まれています。
 城壁の上に立ち(12)、標高332mの高台から見下ろす景色の壮大さは、息を呑むほどの圧倒的なものでした(13)。
 こんなに広大な土地なのに、ポルトガルの人口はたったの1千万人。車で走っても走っても誰とも出会わないのも頷けます。
城壁に立って広大な眺め

戦いの歴史を痛感

村のはずれには、かつて13世紀にディニス王によって作られたという城の跡地があり、現在は闘牛場として使われていました(14)。石造りの闘牛場は、小さな村にやや似付かわしくないほどの立派なものでした。娯楽の乏しいこの村での貴重な楽しみの一つなのでしょうか。
 今は下界から取り残されてしまったようなこの村も、中世には要塞として重要な拠点だったのだそうです。闘牛場脇の見張り台の穴からはるか地平線を眺めると(15)、外敵と戦いながら生きてきたポルトガルの人々の歴史をひしひしと感じるのでした。
闘牛場見渡す限りの原野

 
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